みなさんは、「子どもが育つ魔法の言葉」という著書をご存じでしょうか。作者はアメリカ人の、ドロシー・ロー・ノルト氏。この本の中には、「子は親の鏡」というタイトルの詩が冒頭に書かれています。既に手に取って読んだことがある人もいるのではないでしょうか。私も学生時代に初めて読み、自分が親になった時に再び手に取り、今、みんなのいえの子ども達と生活をするなかで、この詩を反芻することがあります。みんなのいえで暮らす子ども達は、それぞれ違う環境で10代後半までを過ごし、児童相談所を介して、みんなのいえで暮らすことになった子ども達です。当然、育ちの環境が違うので、精神的、身体的な成長はもちろん、社会での生活力や適応力にも個人差があります。そのため、みんなのいえという1つ屋根の下での生活が始まると・・・自分の存在を認めて欲しくて自分アピールをする子、自分の思い通りにいかない場面でイライラしては物に当たる子。仕事での人間関係が上手くいかず上司に注意を受けて逆切れしてしまう子。そんな育ちの環境が違う子ども達をみているスタッフは、「あと数年後に果たして、この子たちは、一人暮らしができるのか・・・」と考えては心配になることがあります。そんな時、親ではない私たちスタッフが伝えられることは本当に少なく、子どもの態度や状況によっては心を打ちひしがれることもあります。だからこそ、改めて「子は親の鏡」の詩を口ずさみ、そうありたいと願いを込める時があるのです。