自立援助ホーム「みんなのいえ」に入居して3年になる若者が、この3年のなかで紆余曲折しながら職を転々とし辿り着いた、「塗装職人」という仕事。そして、この若者は間もなく20歳を迎え、みんなのいえを巣立つ時も迫っています。本人なりに、ここでの暮らしを振り返り、「オレって、ここに来たときはもっと尖ってたよな!」とか、「ここの大人たちにちょ~迷惑かけてたよな!」「働いた金を何であんなに無駄使いしちゃったんだろう・・・金がねぇよ!」など自分の気持ちを言葉に出して言う日が増えてきました。
そんな彼が、「みんなのいえの玄関の壁をきれいに塗装してあげるよ!みんなのいえには、たくさん世話になってるし、恩返ししないとな!」と言って、ていねいに養生テープを貼り(ペンキの汚れがつかないように)塗装前の準備を終えると、その翌日には入居する他の若者にも声を掛け、プロの眼差しで刷毛を握り玄関の壁を塗装してくれました。

ていねいに養生をする若者

賑やかにペンキを塗る若者たち
「下地を塗って乾いたら、あと2回くらいは塗らないとせっかく塗っても長持ちしないんだよ。あと数日はかかるよ!」と言って、その後も数日をかけて上塗りを繰り返して完成した玄関の壁は、以前とは見違えるほどにきれいな壁に生まれ変わりました。
「ありがとう」と伝えると、「みんなのいえに暮らした恩返しと、自分が暮らしたことの証を残したかったんだ」と本人は言いました。
若者が、この玄関を出て巣立っていく時、私たちは「I always believe in you(いつでも君のことを信じているよ)」
という気持ちを忘れず、彼のことも送り出してあげたいと思いました。
