真如苑助成事業として開催している『知っておきたいブラックバイトの実態とトラブル対処法』シリーズの第3回目を11月9日(土)に開催しました。
今回は自立援助ホームや児童養護施設などで、いわゆる”自立支援”に携わっている支援者向けの内容で、NPO法人POSSE事務局長 渡辺寛人さんから『若者の働き方から自立を考える』と題したお話を伺いながら議論をしました。
参加者は、児童養護施設スタッフ、自立援助ホームスタッフ、高校教諭、コワーキングスペーススタッフ、高校生など。
NPO法人POSSEは年間2,000件の労働相談・生活相談を受けながら、調査・研究活動を通して多様なメディアで発信し、『ブラック企業』という言葉などを始めとして、働き方や暮らし方へ影響を与え続けている団体です。
➡NPO法人POSSE
渡辺さんは「給料は何分単位で支払われますか?」など労働法の条文を使わずに定められていることを確認できるようなウォーミングアップから始めて、その後は様々なデータを用いながら企業の労務管理の変化、学生の貧困化から「ブラックバイトとは?」を解説してくれました。実際の相談事例を示しながらわかりやすく、社会問題としてのブラック企業のことを語ってくれました。
渡辺さんははじめに『実態を知ると絶望した気持ちになりますよ(笑)』と話していましたが、労働者のアンケートや実態の数字データを見ているうちに、暗澹たる気持ちになってきました(笑)
途中で聞きたいことを質問しながら、日本以外では賃金が上がっているけれど、日本では賃金の低下と共働き世帯が増加し、貧困が拡大しているということをデータで確認して「ふつうの生活が困難になっている」ことをあらためて実感しました。
そんな状況ですが、
若者の自立を支えるためには、若者が抱える困難の背景には労働問題があるということを私たちは考えなければなりません。
いわゆる「就労支援」で個人をトレーニングするだけでは解決できず、労働市場の劣化は止まりません。劣悪な労働条件へ常に牽制することも私たちが考えなければならないことですし、
若者がトラブルを抱えた時に孤立しないように相談先として居続けること、もしくは相談先を複数持てるようにしておくこと。また、労働の専門家と繋がって「就労支援」に偏りすぎないこと等が、まず私たちが取り組めそうなことです。
それから、今の日本は生活費がかかりすぎる仕組みになっています。住宅の保障をはじめとしたお金のかからないインフラ整備を目指すことも今後必要になってくるでしょう。
終盤になるほどにそんな話でもりあがり、参加者同士で話し始めると、あっという間に時間が過ぎ、懇親会でさらに深い意見交換をすることができました。
参加者の中には、自身の現在の労働環境が過酷で、より良くしたいと思いながらもうまくいかないという悩みを語った方や、就業規則や労働法規の中にはじめて聞いたことがあってハッとしたという方がいたりしました。また「雇われない働き方」のひとつを実践している方がいて、これからの働き方や暮らし方のヒントになる出会いもありました。私たちみんなのいえスタッフも、自身の状況を振り返りながら、明日からの支援を捉えなおす機会になったと感じています。
「知っておきたいブラックバイトの実態とトラブル対処法」シリーズは第2回が中止でしたので、年明けに第4回子どもたち向けを開催する予定です。詳細が決まり次第お知らせいたします。(もなか)
【参考】
「ブラックバイトへの対処法」や「ブラック企業の見分け方」などを無料でダウンロードできるそうです。
➡ブラック企業対策プロジェクト