過去をみず、明日もみず、今をみること(エピソード10)
「高等学校卒業程度認定試験」をみなさんは、ご存知でしょうか?この試験は、高等学校を卒業していない方が、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。今や、高校に進学することは当たり前の時代と思われるかもしれませんが、自立援助ホームに入居する子どもの中には、入居以前の環境で学校教育や塾などに通うことが出来なかった子どもも少なくありません。子どもは、高校受験や高校生活を夢見ながらも、進学を断念して働くことを選択せざるを得ないのです。みんなのいえの子どもにも、中卒で働きに出ている子どもがいます。いつかお金をため高校に通いたいと思う子もいれば、この試験を受験して「高等学校卒業」と考えている子どももいます。しかし、働きながら受験勉強することは本当に難しい・・・加えて、試験範囲の広さと、内容の難しさに直面し、気持ちが萎えてしまうこともあります。そんな子どものためにと、救世主が現れました。元塾講師で子どものやる気を引き延ばしてくれる方・・・試験までの1カ月間、週2回、夜8時から11時までを集中的に引き受け、その間、子どもの気持ちに真剣に寄り添ってくれました。子どもにとって、応援者が多いことに越したことはありません。心強いお応援者となってくれました。目の前のことに諦め、卑屈になっていた子どもが、自分の実力を知り、今の自分を見つめ返したうえで試験に臨みました。結果は!?さてさて・・・ですが、昔の自分をコンプレックスに思っていた自分より、先のことばかり考えて不安になってしまっていた自分よりも、今の自分が一番大切なことなのだと、子ども自身が思えるようになりました。誰でも先のことを考えると不安になります。過去を振り返って、失敗の原因を後悔します。だからこそ、今をみること、今を懸命に生きることが大切なのではないでしょうか・・・。