「明日を生きる、わかものたちへ」

  
みんなのいえのスタッフであるおぐらっち(小倉)が20代だったころ・・・児童養護施設で働き、そこで暮らす子どもたちとの様々な経験や出会いが、私の人生に大きく影響を与え、「出会いのなかで人は変われる」という気持ちにさせてくれたのも、この頃の時間があってのことでした。

 私が当時、勤めていた児童養護施設は虐待や家庭環境、様々な理由で両親と暮らすことが出来ない2歳から18歳の子どもたちが1つ屋根の下で暮らす大舎制という生活形態をとっていました。複数スタッフで子どもと関わりができたこと、幅広い年齢層のスタッフで養育支援ができていた環境は子育てをする上で問題の抱え込みがなく、スタッフ間での相談や情報共有ができる体制も整っていました。

※子どもの様々なケースに対応するため、現在では大舎制ではなく、小規模な生活形態が全国的に主流となっています。集団生活ではなく小集団での暮らし、個別ケアを重視した児童養護施設が厚労省の推進する養育形態、子育て環境となっているため。

 

 今回のブログは、私(おぐらっち)が20代の頃に児童養護施設へ就職して出会った子どもたちが、成人をして社会人となった今でも、みんなのいえまでわざわざ足を運んでくれて元気な顔をみせにきてくれること、あの頃を振り返り、「色々あったけど、楽しかったよね」と笑いあった後に、それぞれが暮らす場へまた帰り、彼らの日常がはじまる・・・そんな当たり前だけど、当たり前ではない日常を生きる彼らをみて私自身も勇気と活力をもらっていることから、明日を生きるわかものたちへのお礼と感謝を文章にすることにしました。

 

毎日、全力疾走だった20代のあの頃・・・やりがいを感じながらも、人を育てるという仕事には、ややもすれば大人目線での押し付けや傲慢さに陥ってしまうような状況がつくられること、「子どもの権利」といいながらも大人からの権利侵害になり得るということを学んだのもあの頃の子どもたちとの関係や経験からでした。

そういうことを、日々の生活(仕事か!?業務ともいえるか!?)のなかで考えながら、子どもたちを支えることは簡単なようで難しく、1人で悩み、抱え込んでしまうと悪い方にしかいかず・・・私の場合は先輩スタッフが支えてくれたお陰で気持ちに余裕をもってやれていたのではないかと、歳を重ねあの頃を振り返ってみるとそう思います。つまりは、自分の力で子どもたちのために何かが成せたという実感はなく、常に子どもたちや、先輩スタッフに助けてもらいながら、私自身も成長させてもらい楽しんでいたということだと思います。

 

 みんなのいえを開所して4年目となりますが、この間にみんなのいえを巣立っていった若者はもちろん、児童養護施設で働いていた頃に一緒に過ごしていた若者たちが社会人となった今でも、みんなのいえに遊びにきてくれます。先日も、「これから遊びにいくね~」と連絡が入り、たくさんのおやつを持って20代の若者二人が遊びにきてくれました。

「ちょ~久しぶりだね!元気だった?あれ、おぐらっち髪型が変わってない!?似合わないね、ちょっと変じゃない!?」と昔と変わらない愛嬌のある顔でニコニコしながら会いに来てくれる子や、仕事の話や施設を巣立った後に連絡を取り合っている同年代の子の話題、これからのこと・・・会いに来てくれる若者それぞれがいろいろな気持ちを持ってやってきてくれます。

「結婚を考えている相手がいるんだ!」という嬉しい報告があったり、「仕事がうまくいっていなくてどうしたらいいかな?」と相談事もあったりしますが、どの子(成人しています)たちも色々あるけど「前を向いて生きている」ということがその表情や会話から伝わってきますし、そんな時に、彼らの今と昔を知っているからこそ成長を実感し嬉しくなります。

そして、みんなのいえに暮らす子どもたちのためにお菓子や手土産をもってきてくれる彼らに感謝をすることはもちろん、自分たちもそうであったように10代の頃の苦悩を強いられている子ども達のために何かしてあげたいと思う優しい気持ちに嬉しくなります。


【社会的養護を巣立ち、社会で頼もしく生きる若者2人。】

ブログを読んでくださっている皆さんのなかには、児童養護施設や自立援助ホームなどの社会的養護の施設を巣立った子どもたち(措置解除された子)が、その先でどのような生活をしているのか気になる方もいると思います。

彼らは施設を巣立つと原則、自力で社会との繋がりをつくり生きていくことを余儀なくされます。もちろん、社会的養護の制度として児童福祉施設等を巣立った後の子ども達のためのアフターケアや相談支援といった事業もあり若者を支える制度は確立されていますが、当事者自身に「頼れる場所」「頼れる人」が巣立つ前にいるかどうかでその利用も大きく違ってきます。頼る人や物がなくて孤独と貧困に陥っている、誰かに助けを求めたけど施設とは疎遠になり、色々あって連絡がしづらい・・・と思っている若者や成人した大人が日本では多くいます。

※この疑問に対して、「三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社」が社会的養護の施設に対して以下のような調査を実施しました。参考までに載せておきます。

 

平成30年度の「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が 解除された者の実態把握に関する調査研究 報告」を平成313月に報告、発表。以下のURL参照

 

 私たちが携わっている児童福祉の仕事は、結果がすぐに出るものではなく、情熱だけで支援ができるものでもありません。「子育て」をするということは自分自身(大人自身)が経験してきた価値観や方法を子どもに教えてあげたい、伝えたいという想いよりも、何が子どもにとってより良いことなのか、大切なことなのかを柔軟に考えられる視点や気持ちの余裕こそが必要だと思っています。だからこそ、太く短く子どもの支援をするのではなく、細く長く子どもが大人になっても関係が継続できるような出会いや時間をみんなのいえでこれからも紡いでいけたらと思っています。

 

明日を生きる、わかものたちへ・・・

人の痛みが分かる大人になってくれてありがとう。喜びを分かち合う大人になってくれてありがとう。社会で生きていくことが苦しいことだけではないことを教えてくれてありがとう。これからも、みんなのいえをどうぞよろしくね。

 

 

おぐらっちより(小倉)