他人との「距離感」

10代の頃の私は、周囲の人の目が気になり、「自分は周りからどのように見えているのか?嫌われてはいないか?この人は信用できる人か?好かれているのか?」なんてことを考えながら生きていました。そんなふうに周囲に気を遣っている中で、特に意識をしたのは、他人との「距離感」でした。この人は、自分には優しい人だから、話をしてても大丈夫な人・・・とか、この人はあまりしつこいと次第にイライラして怖いから、ほどほどにしておこう・・・とか、あの当時の私は、自分が他人から好かれるようにするため、他人との距離感を図ることに必死だったように思います。みんなのいえに暮らす6人の子ども達(10代)にとってもこの「距離感」は大きな課題となっています。自分の話を聞いてもらいたくて常に近すぎて煩わしく思われがちな子、自分の都合で相手に近づいたり離れたりする子、ふとした瞬間に相手の領域に踏み込み、相手に不快な思いをさせてしまう子・・・同年代との関係や、仕事場での人間関係、友人、恋人などなど・・・みんなのいえの子ども達の悩みや愚痴を色々聞いていると、他人との距離感に起因することが多々あります。この「距離感」について、子ども達に伝えることは本当に難しく、実際のところ、子ども達自身が失敗や成功体験を重ねる中で習得できることだと思います。それでも、私たちスタッフは多くの時間を子ども達との会話に費やします。子どもの声を聞き、今の状態、状況を知り、子ども一人一人にとって何が必要なことなのか・・・距離感をもって子ども一人一人に応じた支援を、毎日、積み重ねていくことこそが自立支援なのかもしれません。